車両トイレあれこれ

車両トイレの歴史は、明治22年、東海道本線全通当時、長距離列車に設備されたのが始まりといわれております。

汚水の直接車外排出をやめるため、床下に汚水タンクを設けた「貯留式」、汚物を消毒粉砕して直接車外へ投棄する「粉砕式」、洗浄水を殺菌濾過して繰返し使用する「循環式」、汚物と汚水を固液分離し水分だけを車外排出する「浄化排水式」、コップ一杯の水で便器を洗浄できる「噴射式」・「真空式」と様々なトイレシステムが搭載されてきました。

ここでは、各システムの概要につきまして以下に述べさせていただきます。


1. 粉砕式

この装置は汚物を粉砕し処理液と混合させ殺菌脱臭する処理機を主体として、これに付属する処理液タンク、便器座、便器底フタ、流し管、及び便器洗弁、処理液コック、マイクロスイッチ、又は限時継電器に作動させるペダル連動のリンク装置からなっていて、これを制御する配電盤が別に便所付近に取付けてあります。
ペダルを踏むと便器底フタが開き、同時に底フタの軸に取付けたカムがマイクロスイッチを押し、引棒は便器洗弁、処理液コックに作用し定量の水(2.5g)と処理液(160cc)を流出させます。すると、便器の汚物は流し管を経て処理機に流れ込む、マイクロスイッチから配電盤の限時継電器、その他に給電が行われ、処理機の電動機を所定時間(30秒)回転し、汚物と処理液を混合粉砕し排出トイから脱臭タンクを経て、殺菌脱臭したものを車外へ排出する構造であります。

No 名        称
処理液タンク
処理液コック
便器洗弁
給水管
ペダル
マイクロスイッチ
便器底フタ
便器座
処理液管
10 導入口
11 点検フタ
12 電動機
13 可動翼
14 粉砕部
15 上部体
16 下部体
17 ウォータシール
18 注入口
19 脱臭タンク
20 断熱材



2. 循環式

この装置は固形汚物をろ過器で分離し、水分のみをポンプで汲み上げ、便器洗浄水として再使用するシステムです。
使用開始にあたり、最初の洗浄水(初期水)をタンクの規定水位まで注水し、消毒のための薬剤を投入します。
ペダルを踏むと、ペダル装置に組み込まれているマイクロスイッチが押され、制御盤内の限時継電器、電磁接触器に給電され、電動機によって一定時間(20秒)ポンプろ過器が回転します。
ろ過器は、ろ過体が回転すると共に、内部のスクレーパーによりろ過体を清掃しながら固形汚物を分離し、タンク内の水分のみをろ過します。
ポンプは、ろ過器から水分を汲み上げ、同時にインペラーの圧縮作用にて一定圧で便器給水管を経て、便器に洗浄水として給水されます。
汚物は、洗浄水とともに便器から流し管を通って汚物タンク内へ流入します。
ポンプろ過器は、制御盤内の限時継電器により定められた時間に停止して洗浄水の循環は終了します。
現在、タンク内の汚水は車両運用に合わせて2日から3日の周期で抜き取りが行われています。



3. 浄化排水式
大都市圏の中距離電車向けとして開発された装置であります。装置は、汚水をろ過し汚物を貯留するカセットと、ろ過した汚水を貯留消毒する殺菌槽とから成っている。カセットは簡単に取り外すことができ、ろ布と活性炭で構成されている。カセット下部の消毒槽には、薬液槽から消毒用の薬液が送られてきます。
ペダルを踏むと水タンクから清水(2g)が洗浄水として便器に供給され、汚物を洗い流しながら流し管を通ってカセットに流入します。
カセットに流入した汚物はろ布により固形分と汚水に分離され、固形分はろ布内に残留します。残留した固形分にはペダルと連動して処理液タンクから処理液が1cc滴下され、防臭・防腐処理が施されています。
ろ布で固形分と分離された汚水は、次にろ過材(活性炭)を通り、ここで脱臭・脱色されて下部の第1貯水タンクに流入します。
第1貯水タンク内ではペダルと連動で薬液(塩素剤)が150cc投入され、汚水は殺菌・消毒されます。続いてオバーフローしながら第2貯水タンクに入ります。
第2貯水タンク内では、ペダルと連動して流入する10ccの還元液により中和され、浄化された水になります。
電車が駅に停車すると、希釈水が2g貯水タンク内に入り、排水用電動弁が開いて第2貯水タンク内の水は器外に排出されます。
固形分を貯留させたカセットは一定周期(15日〜30日)毎に取り外し、新しいカセットと交換し焼却炉で焼却します。



4. 噴射式

従来の循環式は薬剤にて処理した洗浄水を循環して使用するため臭気が発生し、利用者に著しい不快感を生じさせていました。
本装置は洗浄水に清水を使用し使用量は僅か180ccで便器洗浄できる様、便器、及びノズルに工夫がされております。また、床下のタンクと便器間にはシャッターが設けられており、タンクからの悪臭をシャットする機構を有しております。また、傾斜を有する床下への流し管内部に滞留する汚物は、便器洗浄5回毎に噴射ノズルから洗浄水が噴射され、汚物をタンクへ洗い流すシステムになっております。
便器表面は汚物の付着を防止するとともに、汚物を搬送し易くするためにテフロンコーティングを施しております。また、便器内の主ノズルは2系統有し、交互のノズルから洗浄水が噴射し便器の洗浄効果を高めております。


5.真空式(コンバック)
本システムは、真空発生に必要な全ての機器が便器ユニットの内部に収納されております。動作ステップは以下の通りです。

@ 光電スイッチが感知すると、一連の洗浄サイクルが開始されます。
A 便器ユニット内部にある予備汚物タンクの内部をエジェクタ(真空発生機器)にて減圧します。
B 便器の洗浄ノズルから洗浄水が(180cc)吐出し、便器内部を洗浄します。
C 便器排出口と予備汚物タンク間に設けてある入口用スライドバルブが開口し、同タンク内部が減圧されているため真空吸引力により便器内部の汚物は予備汚物タンク内に吸込まれ、同バルブは閉口されます。
D 予備汚物タンクを圧縮空気にて加圧します。
E 予備汚物タンクと床下への流し管間に設けてある出口用スライドバルブが開口し、床下に設置されている貯留タンクへ加圧圧送にて排出される。


6. 小便所節水装置
大便所への洗浄水量は、真空式・噴射式汚物処理装置の開発採用により、コップ一杯の洗浄水量にて便器を洗浄することが可能となりましたが、小便所の洗浄方法は、清水タンクより洗浄水が1回あたり最低0.5g程度使用されるために大便所と小便所を設置する車両の汚物タンク容量は増大し、床下の機器スペースに苦慮し、また洗浄水が少量のために便器に付着した汚水の悪臭が発生することになります。
本システムは、小便所の洗浄水を再利用し、汚物タンク容量・水タンク容量の低減、及び小便器への洗浄水量を増大することが可能となりました。

小便器の前に人が立つと、光電センサーが動作し、一連のサイクルが開始されます。
@ 管路切換弁は「閉」状態から「汚水側」へ切り替わります。
A 小用後、人が便器から立ち去ると、洗浄水ポンプが運転され、前洗浄として洗浄水が洗浄水タンクから小便器へ送水され、床下の汚物タンクへ流入します。
B 洗浄水ポンプが1度停止し管路切換弁が「汚水側」から「洗浄水タンク側」に切り替わり、再び、洗浄水ポンプが運転され洗浄水タンクから小便器へ送水され、洗浄水が洗浄水タンクへ流入します。
C 一連の便器洗浄が終了されると、管路切換弁は「洗浄水タンク側」から「閉」の状態へ戻り、タンクからの臭気がシャットアウトされ、1サイクルが終了します。
D 洗浄水タンクの水位センサにて一定水位以下になると給水用電磁弁が開き、車体側からの清水が洗浄水タンクへ補水されます。
E システムが50回動作されますと洗浄水タンク内の洗浄水が自動的に清水に入れ替わるようになっています。


7. 小便所節水洗浄ユニット
本システムは、床下の汚物タンク清掃時に小便所の配管、及び便器を強制的に清掃させ、臭気、及び尿石の発生を防止させるシステムです。
小便器の前に立つとセンサが感知し、毎回200ccの洗浄水にて便器を洗浄します。
洗浄水には処理剤が含まれており、床下の汚水管、及び便器配管への尿石付着防止に考慮されております。
使用回数が10回目に達した時には、自動的に1000ccの洗浄水が流れます。
便器口、及び便室内の臭気については、小便器下部から換気扇にて常時排気をしております。
床下汚物タンク流入口には流入管を設置し、便器口、及び便室内への臭気についても充分考慮されております。
小便器内、及び床下流し管内の尿石付着防止のために、床下汚物タンクの汚水抜き取り時にタンク洗浄水を利用し、自動洗浄する配管が施工されております。
本装置内には、電気駆動部が無く、付属部品点数も少なく重量低減となっております。


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